脳外科 resident notes

若手脳外科医による(基本的に)脳外科レジデントのためのブログ。病気のことや手術のことについて語ります。

経鼻胃管挿入のコツ(意識がない場合)

 

 たまにこれを知らない人がいて、異常に手こずっているのを見るので。

 

意識がある人に経鼻胃管を挿入する際は、嚥下をしてもらえばチューブが食道に送り込まれるのでまず失敗することはありません。

問題は意識障害があったり全身麻酔下だったりで意識がない人です。嚥下反射も出ず、仰臥位では咽頭喉頭が落ち込むため、胃管が上手く入らないことがあります。

 

そういう際にまず試すのは、首を回したり、指2本を咽頭後壁に当ててその間にチューブを通して方向をガイドする方法でしょうか。これで入ることも多いですが、もっと有効な方法があります。

 

それは、甲状軟骨の左右の端を掴んで前に持ち上げる、という方法です。こうすると喉頭全体が持ち上がり、食道の入り口がガバガバな状態になるため無抵抗にチューブが進みます。クラッシュインダクションで甲状軟骨を押して食道を閉鎖するのの逆という発想ですね。

試しに自分にやってみてください。両側ともしっかり指にかけるのは少しコツが要りますが、がっちり持ち上げないと意味がありません。

しっかり把持すると分かると思いますが、結構痛いので、意識がない人限定の方法です。(そもそも入りにくい時点で意識がないはずなので問題なし)

 

 

この方法は研修医時代に自分で思いついて発見したのですが、一部のテキストには普通に載っているみたいですね。

まあ知っていて損はないし無駄な時間を使わずに済むので一応書いておきました。