脳外科 resident notes

若手脳外科医による(基本的に)脳外科レジデントのためのブログ。病気のことや手術のことについて語ります。

疾患

静脈洞血栓症

静脈洞血栓症の病態はそこまで難しい訳ではないですが、ちょっとその捉え方、治療の考え方に分かりづらいところがあるのかなと思ったので取り上げてみます。 病態、現象としては単純で、静脈洞に血栓ができる病気です。 原因には先天性の凝固異常や外傷、経…

もやもや病

もやもや病について。 医師国家試験レベルだと、血管が細くなって代わりにもやもや血管ができる病気…ぐらいの理解でしょうか。 もう少し本質的なところから説明してみたいと思います。 医学生、研修医向けです。 個人的な理解に基づく内容も入っているのでご…

脳外科の抗血栓療法

脳外科における抗血栓療法(抗血小板療法、抗凝固療法)について。 初学者向け。 凝固カスケードなどの詳細な機序は置いておいて、臨床的にどう考えてどの治療薬を用いれば良いかと言ったことを述べてみます。 まず、血栓がその形成機序の観点から大きく分け…

けいれん発作

脳外科の救急外来をやっていると頭痛や麻痺の患者ももちろん来るのですが、意外と多いのがけいれん発作が主訴の患者です。 けいれんの主な原因の1つであるてんかんは若年者と高齢者に多く、特に高齢化に伴い、けいれんで運ばれてくる高齢者が増えている印象…

正常圧水頭症2

色々あって更新が滞っております。 今回は正常圧水頭症の手術について。(普段より多少一般向け) tap testなどにより、髄液を脳脊髄腔から逃がすことで症状が改善するという可能性が高いことが分かれば、基本的にはシャント手術を行います。 一般的な方法と…

脳症・脳炎

脳症と言われても以前はピンと来なかったのですが、何例か経験してぼんやりとはいえ頭の中にゲシュタルトが出来てきたので、自分なりの解釈を述べてみます。 まだピンと来ていない人向けに、脳症患者のイメージを頭の中に作る一助となれば幸いです。 脳症患…

慢性硬膜下血腫2

今回は手術に主眼をおいて説明していきます。 前提条件として、施設によってやり方は様々だと思いますので、基本的に自分が普段やっている方法を紹介します。 慢性硬膜下血腫の手術は基本(準)緊急です。 入院翌日に行う場合などは原則直前の食事は止めます…

慢性硬膜下血腫1

一般的な知識と、入院から退院までの流れについて説明します。 手術の話はまた別にまとめます。 慢性硬膜下血腫は、脳外科で手術を要する最も患者数の多い疾患です。 名前が長いので一般的に「サブドラ(chronic subdural hematoma)」、「まんこう」などと…